なぜこんな短時間で

 なぜ? なぜこんな短時間でこれほど変貌する事が出来る。
「おっ、清。お前匂うな」

 この前と同じことを言った。その言葉の意味は何だ。
「何が匂う」
「清。誰かと会っただろ」

 俺の頭を知り合いの顔が次々と流れていく。
「誰の事を言っている」
「まぁ、いい。それより俺の部屋に来て何をするつもりだ」
「お前、自首する気などないな。電話ではあんなに情けない声だったのに、どうしたんだ」
「ふん。俺が何を言ったか知らないが、そんなの関係ないよ」

 まるで今の一樹は別人だ。ふと、原田の言葉が浮かんで来た。 『二重人格の人は、実は霊が取り憑いている』
「お前、誰だ。一樹ではないな」
「ああ、俺は上田修二だよ」

 上田修二。その名前は俺の頭には漢字で浮かんで来た。という事は、俺はその名前を何処かで見た事が有るはずだ。どこだ。いつ見た。俺の脳細胞が隅々まで探して回ったが、その答えが見付からなかった。そうか、無意識だ。俺が無意識のうちに見たんだ。俺の身に覚えが有るのは……何だ。
「何一人でぶつぶつ言ってんだ。船長だよ俺は」

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