この男が寝ている間は

 そうか、この男が寝ている間はまともな一樹なんだ。という事は、一樹の意識を取り戻してやればこの船長の霊は引っ込む。そう考えても良いだろう。出来なくても何もしないよりはましだ。

 ふと俺の頭に妙案が浮かんだ。一樹の意思を強く出してやれば良いんだ。その為には彼の犯した殺人の相手、ゆかりさんの事が……そうだ思い出した。今日七月二十四日はゆかりさんの誕生日。

「一樹、ゆかりさんの事を話してやるよ。ゆかりさん、今日が誕生日だ。お母さんがそのことを俺に言ったよ、いつだったかな、最近だけど。お母さんの事も考えてみろよ、毎日心配で心配で夢まで見るんだぞ。どう思う一樹」

「そうか、それは可哀想だったな。だが、それとこれとは問題が別だ。俺は俺のやりたい事を最優先させてもらう。ああ、そうだ。面白い話をしてやろう、聞きたいか」
「いや、今はそんな事はどうでもいい。それよりも一樹、いや船長。どうして人間の肉を食べる事になった」
「そうだろ、それが一番気になることだろ、だから俺が面白い話をしてやると言ったんだ」
「どんな話だ」

「あの島だよ。もう調べて知っているんだろ、無人島。その無人島での出来事だよ」
「無人島?」
「そうさ、無人島で一樹が見た、最後の人殺しさ。どうだ聞きたいか。聞いてどうする。それを聞いてお前も同じように人を殺すようになったらどうする。それでも聞きたいか」

犯罪の理由が分かるのなら

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