犯罪の理由が分かるのなら

「それで一樹の犯罪の理由が分かるのなら」
「理由か……分かるかね、話を聞いただけで……まぁいい、話してやるよ。あの時見た光景は、一樹が想像していた通りだった。餌食にされたのは髪の長い娘だ。その長い髪が床についていた。お前に分かるか? 髪の長い若い娘の、髪が床についている状況が」
「いや分からない」

「娘は裸にされて、天井から延びるロープに逆さまに吊るされていたんだよ。その娘が身に着けていたのは小さなショーツだけだ。大下にも『哀れむ』という言葉があったのかもしれないよな。その大下が俺に向かって叫んだ。『おい野田。そこにいると散るぞ。後ろに下がれ』その意味が解るか、清」

「いや、まったく想像できない」
「まぁ、そうだろうな。生きた人間の首を刎ねたら、身体から大量の血が噴き出すんだ」

 俺の身体が固まっていくのが分かった。だが、船長の話を聞かずには居られなかった。

「その時俺は、ここで大下にはむかう理由はないな、と思って大下の声に従うことにした。その大下の横には船の外国人乗組員が四人居て、その中の体格の良い男が大きく長い包丁を握っていた。分かりやすく言えば日本刀だよ。その日本刀を娘の首筋にあてがい狙いをつけていたんだ。

 そして大きく日本刀を振りかぶった。その瞬間だった、その娘の身体が動いたんだ。頭を持ち上げ一樹の目を見たんだ。娘と一樹は、娘が死ぬ寸前に目が合ってしまったんだ。『やめろ。やめるんだー。まだ生きているぞ』

 叫んださ、一樹は。だが一樹がそう叫ぶ前に日本刀は振り下ろされた。そして一樹の目の前に生首が転がってきた。ゴロンゴロンとな。分かるかその状況が、お前に」
「……」

何が言いたいのか分からなかった

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